1. HOME
  2. お知らせ
  3. 成長する道具、消耗する道具

成長する道具、消耗する道具

2週間ほど前の事になります。岐阜県立森林文化アカデミーの先生からお誘いを受けて兵庫県に刃物鍛冶の実態調査に同行させて頂きました。鍛冶屋さんの存亡が危ぶまれていることは前から知っていましたが、どういった原因で減少しているのか把握しきれずにいました。そこで今回のお話を頂きこの事象の一端を知ることとなりました。

訪れたのは三木市で行われた「鍛冶でっせ」という金物博覧会です。この調査を卒業発表のテーマにしている生徒の方が事前に取材する方にコンタクトを取っていてくださり、お話をスムースに伺うことが出来ました。共通して言えることが職人の高齢化と跡継ぎ問題、需要の低迷…さらに大工道具は分業制です。刃物、研ぎ、台打ち…どこか一つ無くなると負担が重くのしかかってきます。そんなアンバランスな業界の中でも現状を打破しようとしている上の方達や新しい発想で勝負している職人さん、大工道具のこれからを危惧して真剣に考えている方にも出会うことができ、とても深く、深く思考した二日間になりました。

もともと車業界にいた自分…手工具がラチェットから鉋に変わって、最初はなんて面倒くさい道具なんだろう…そう思いました。完成されてない半製品に近いような大工道具、「仕込み」を職人自ら行って初めて使えるようになる…使えるようになっても使いこなせるようになるには何年もかかる、さらに環境の変化で不具合が起きる…なんて面倒くさいんだろう…

ただ最近、南京鉋の製作をしていて気づいた事があります。

「鉋」は成長する道具だ…そう思いました。

一見すると刃は消耗するし、台もすり減るし、消耗するだけの道具に見えますが実は使えば使うほど性能が上がっていきます。これは木の台ならではの現象ではないかと思っています。台が環境に適応し、刃物がなじみ、時間の経過と共に自身にもなじんで成長する。

こんな魅力的な道具をもっと知ってもらいたい。その入口として比較的使いやすい「南京鉋」を使ってもらいたい。そんな想いがさらに強まりました。